なぜブリーダーが、イベントを開くのか——ラーテルがイベントを続ける理由

「ブリーダーなのに、なんでイベントをやっているんですか?」
ありがたいことに、最近よく聞かれます。
たしかに、犬を繁殖して、新しいご家族のもとへ送り出すのがブリーダーの仕事です。何千人も集まるようなイベントを主催する、というのは、字面だけ見ると少し不思議な取り合わせかもしれません。
今日は、その「なぜ」を、かしこまらずに正直に書いてみようと思います。
始まりは、寒川の小さな手づくりイベントだった
ラーテルイベントが最初に動き出したのは、2024年の春。寒川町の「川とのふれあい公園」で開いたさむかわ犬まつりが、すべてのスタートでした。
正直に言うと、当時はこんなに人が集まるイベントになるなんて、まったく思っていませんでした。
運営は、私ともう一人、たった二人。
警備の人もいなければ、会場を案内するスタッフもほとんどいない。
「500人くらい来てくれたら御の字かな」——そのくらいの気持ちで朝を迎えました。
ところが、開場を待つ車で駐車場があっという間に大混雑。
あのときは、正直、血の気が引きました。
そうやって慌てながら始まった一日でしたが、終わってみれば「寒川って、こんなに犬が好きな人がいるんだ」という発見の方が大きくて。
「だったら、もっと面白いことをやっていこう」と、そこから本格的に動き出したのが、今のラーテルイベントです。
きっかけは、「オフ会とは違う魅力」をつくりたかったから
なぜ、わざわざイベントという形だったのか。
「オフ会」は、同じ兄弟の子や、近い血統の子に会える。
これはオフ会ならではの、何にも代えがたい魅力だと思います。
ただ、その一方で——
「オフ会って、どんな雰囲気なんだろう」
「初めてだと、少し参加しづらいな」
そう感じている飼い主さんも、実は少なくないんじゃないか。そう思っていました。
だから、オフ会の魅力とはまた違う魅力を持つ場所を作りたかったんです。
- 今まで知らなかった人と出会える
- 気に入った洋服やグッズを買える
- ふらっと来て、友達ができる
そういう、ゆるくて新しい入り口。それがラーテルイベントの出発点でした。
いちばんの理由は、「卒業した子たちに、また会いたい」から
そして、これがいちばん大きな理由です。
ラーテル犬舎から巣立っていった子たちは、今、日本全国にいます。北海道から沖縄まで、本当にあちこちで暮らしています。
遠くで元気にしているのは嬉しい。でも、なかなか会えない。
その子たちが、ちょっとでも神奈川・寒川に帰ってきてくれるような「理由」を作りたかった。
「ラーテルのイベントがあるなら、ひさしぶりに行ってみようか」
そう思ってもらえる場所があれば、また会える。
最初にイベントを作った大元の動機は、実はここにありました。
続けるうちに、「地元の子たちの場所」にもなっていった
最初は卒業生のために始めたイベントでしたが、回を重ねるうちに、少しずつ意味が広がっていきました。
毎回顔を出してくれる常連の子。すっかり顔見知りになった子。
ラーテル出身ではないけれど、足を運んでくれる地元の子たち。
そういう子たちと会ううちに、
「せっかくラーテルに関わってくれたなら、この子たちの犬生(いぬせい)が、ちょっとでも豊かになったらいいな」と思うようになりました。
卒業生のための場所であり、地元の子たちが楽しめる場所でもある。
今のラーテルイベントは、そういう場所になってきています。
ドッグラン設営という、新しい入り口
ここ最近は、寒川以外の土地にも出かけるようになりました。秦野、平塚、相模原。いろんな場所へ。
場所を変えれば、その土地の近くで暮らすオーナーさんに会えます。それ自体が、すごく楽しい。
ただ、「イベント」という形だと、どうしても神奈川県内に留まりがちでした。
以前、山梨で一度開いてみたこともあるのですが、なかなか人が集まらなくて。
ラーテルイベントは、基本は神奈川県内かな——そう思っていました。
そんな中で最近気づいたのが、「ドッグランの出張設営なら、県外にも出ていける」ということでした。
寒川にドッグランを作ったり、埼玉のスタジアムや、川崎の公園に設営したり。
少しずつ、その経験が増えてきました。
いま、各地でドッグイベントそのものが増えています。
その流れにあやかって、「ドッグラン、作りませんか?」と声をかけていけば、
千葉・埼玉・茨城・静岡と、関東一円に出ていける。
そうすれば——県外で暮らすラーテルの子たちと再会できるチャンスも、また増えるんじゃないか。
そんな思いで、ドッグランの出張設営も始めてみました。
まだ依頼がたくさん来るわけではないけれど、少しずつ広げていけたらと思っています。
だから、ブリーダーがイベントをやっています
「なんでブリーダーが、イベンター(イベントの主催者)なんですか?」
その問いへの答えは、つきつめると、とてもシンプルです。
巣立っていった子たちに、もう一度会いたいから。
そしてもうひとつ。続けているうちに、すっかり面白くなってしまったから。
いろんな人と出会えて、いろんな犬たちに会えて。気づけば、こんなにも楽しい場所になっていました。
なんだか、ずいぶん身近な話になってしまいましたが
——ラーテルがイベントを開いている理由は、本当に、こんなところです。
どこかの会場で、あなたとあなたの愛犬に会えるのを楽しみにしています。